GEO

SEOの話が、ほぼ消えた。世界最大級の検索カンファレンスの5つの変化を、登壇者の公開資料で確かめた

2026年6月にボストンで開催されたSMX Advancedの参加報告は、どれも同じ変化を伝えています。検索カンファレンスなのに、SEOの話が中心にない。現地に行けなかった僕が、登壇者本人の公開スライドと一次データで5つの変化を確かめました。意思決定エンジン、1位でも見えない検索結果、測れない問題への答え、エージェントが買い物する時代まで。

KOMACHI編集部KOMACHI編集部
10分で読めます
SEOの話が、ほぼ消えた。世界最大級の検索カンファレンスの5つの変化を、登壇者の公開資料で確かめた

こんにちは。KOMACHIマガジン編集部の長谷川です。

2026年6月3日から5日、ボストンで検索マーケティングのカンファレンスSMX Advancedが開催されました。Search Engine Landが主催する、この分野では世界最大級のイベントです。1ヶ月ほど経って、参加した企業やコンサルタントの報告が英語圏でも国内でも出そろってきたのですが、読み比べるとトーンが揃っています。検索のカンファレンスなのに、いわゆるSEOの話が中心にない。主語がAI Visibility、つまりAIからの見つけられやすさに変わっていた、と。

僕は現地に行っていません。だから今回は、参加報告の伝聞をそのまま運ぶのではなく、登壇者本人が公開しているスライドや記事、それに一次データを当たって、何がどこまで本当なのかを確かめました。派手に言えばSEOの終わりに聞こえる話ですが、公開資料を読み込んだ印象はだいぶ違います。SEOが終わったのではなく、SEOだけを語る場が終わった。基礎は前提になり、その上に積むものの話に移っていた。それが結論です。

💡 KEY MESSAGE

SEOが終わったのではなく、SEOだけを語る場が終わった。基礎SEOは前提になり、主戦場は「意思決定の分岐を面で埋める」「画面上の露出と言及で測る」「AIエージェントに読ませる」へ。登壇者の公開資料で確かめた5つの変化。

変化は5つに整理できます。順に見ていきます。

変化1 主語がSEOからAI Visibilityへ

複数の参加レポートが、今年のSMX Advancedの中心テーマをAIとの向き合い方だったと報告しています。米代理店Level AgencyやArc Intermediaが公開している参加記録を読むと、セッションの多くがAI検索での可視性、計測、エージェント対応に割かれていたことが分かります。

言葉の変化だけなら流行で片づけられますが、お金の動きが伴っています。AI回答の中で自社がどれだけ言及・引用されているかを計測するツールProfoundは、2026年2月24日に9,600万ドルのシリーズC調達と評価額10億ドルを公式発表しました。Fortuneの報道によれば創業からわずか18ヶ月でのユニコーン化で、公式ブログにはTarget、Walmart、Figmaといった顧客名が並んでいます。AhrefsはBrand Radar、SemrushはAI Toolkitという同種の計測機能を製品化済みです。AI回答の中での存在感を測る、という行為がひとつの市場として成立し始めている。カンファレンスの主語の変化は、この市場の立ち上がりと同じ方向を向いています。

ただし、海外の専門家が一枚岩なわけではありません。iPullRankのMike Kingは自社の公開ドキュメントで、単一クエリの順位に向けて最適化してきた25年と、複数クエリを横断する推論システムに向けた関連性設計とは別物だ、という趣旨を書いています。一方で後述するAleyda Solisは、AI時代の勝ち筋の多くを強固な基礎SEOの延長に置く構成で語っています。SEOと呼ぶか、別の名前を付けるか。そこはまだ論争中です。名前の議論より、中身の変化を見た方がいい。以降の4つは、その中身です。

主語がSEOからAI Visibilityへ。検索順位を見る時代からAI回答の中の言及・引用を測る時代への移行
順位の議論から、AI回答の中の存在感へ

変化2 AIは検索エンジンではなく、意思決定エンジン

参加レポートで繰り返し取り上げられているセッションのひとつが、SEOコンサルタントAleyda Solisの発表です。ありがたいことに本人が当日のスライドをSpeaker Deckで全公開しているので、伝聞ではなくスライドそのものを確認できます。

核になる主張はこうです。AI検索は情報を取ってくる仕組みではなく、意思決定を代行するdecision engineとして働く。ユーザーはAIとの対話で比較し、絞り込み、決めてしまう。だからコンテンツ側は、キーワードのマップではなく、ユーザーの用途と制約を掛け合わせたマトリクスで設計し直すべきだ、と。

スライドには具体例まで載っています。ランニングシューズを売るなら、best running shoes 2026という1本のキーワードを狙うのではなく、マラソン練習用・トレイル用・普段履きという用途と、クッション性・重量・価格という制約の掛け合わせごとに、商品属性・説明・絞り込み・内部リンクを用意する。AIとの対話は分岐しながら進むので、分岐の先のそれぞれに答えが置いてあるサイトが推薦される、という理屈です。

これはECの例ですが、BtoBの記事にそのまま翻訳できます。おすすめツール10選を1本書いて終わりにするのではなく、読者の意思決定が分岐する点、たとえば業種、予算、既存ツールとの相性、社内の運用体制ごとに、答えを網羅しておく。1キーワード1記事という発想から、意思決定の分岐図を面で埋める発想へ。KOMACHIマガジンも他人事ではなく、既存記事がこの分岐をどれだけ拾えているか、棚卸しが必要だと考えています。

1本の大型記事から、用途と制約で分岐するニーズの網羅へ
1キーワードから、分岐の網羅へ

変化3 順位からピクセルへ。1位でも見えない検索結果

MozとSTATのTom Capperは、検索結果をピクセル単位で測った調査を発表しました。数字はSearch Engine Journalが記録した発表内容から引きます。

デスクトップでは、オーガニック検索1位の表示位置の中央値はページ上端から約635ピクセル。一般的なノートPCの表示領域は縦800ピクセル程度なので、ぎりぎり入るかどうかです。1位がスクロールなしで見える割合はデスクトップで57%、スマートフォンでは約40%しかありません。Capperは発表で、典型的なスマートフォンでは6割方、1位のオーガニック結果は最初の1行すら見えていない、と述べています。上を占領しているのは、情報系のクエリならAI Overviews(ファーストビューの約31%、ナレッジグラフと併用時は約41%)、商用クエリなら広告とショッピング枠(60%超)です。

順位という指標がここまで目減りしているなら、見るべきものも変わります。1位か3位かより、ユーザーの画面のどこに、どんな形で露出しているか。クリックが来なくても画面に映っていたか。Capperの発表には、順位の予測因子としてブランドがどんどん強くなっている、という指摘もありました。順位を追う仕事が、露出と想起を設計する仕事に近づいている。変化1のAI Visibilityという言葉は、この文脈でも効いてきます。

スマートフォンで検索1位がスクロールなしで見えるのは約40%。上部はAI回答と広告が占有
1位でも見えない検索結果(Tom Capper発表・Search Engine Journal記録より作図)

SEO記事を5分で自動生成

KOMACHIなら、キーワード入力からSEO最適化記事の生成まで一気通貫。3記事まで無料でお試しいただけます。

無料ではじめる

変化4 成果が測れない問題と、計測点をずらすという答え

AI検索対策の話が実務で止まるのは、たいていここです。やったとして、効果をどう証明するのか。

構造的な問題であることは、Semrushが2026年5月の公式ブログでattribution gapとして整理しています。AIの回答の中で自社を知った人は、その場でリンクを踏むとは限りません。後日ブランド名で検索したり、URLを直接叩いたりする。するとアナリティクス上は指名検索やダイレクト流入に分類され、起点がAIだったことはどこにも残らない。影響と記録の間に、埋まらない溝があるわけです。

一方で、測れるものは増えています。Googleは2026年5月13日、GA4にAI Assistantsという新しいチャネルを公式追加しました。ChatGPTやGemini、Copilotなどからの流入が自動で束ねられます。ただし公式ドキュメントを読むと穴も明確で、Perplexityは対象リストに入っておらず、GoogleのAI OverviewsとAIモードからのクリックは除外されてOrganic Searchに混ざり、referrer(参照元情報)が消えた訪問はダイレクトに落ちます。このチャネルの数字だけ見てAIの影響を判断すると、確実に過少評価になります。

参考になる数字をひとつ。Ahrefsが自社サイトで公開しているデータでは、AI検索経由の訪問は全体のわずか0.5%なのに、サインアップの12.1%を占めていました。referrerが残った訪問だけを数えてこれなので、実際の影響はもっと大きい可能性があります。ただしこれは1社の、しかもSEOツールという特殊な商材の数字です。一般化はできませんが、流入の量だけでAI経由を切り捨てるのは早い、という程度のことは言えます。

では何で測るか。ヒントは、Google自身が広告の世界でとっくにやっています。Search Liftという公式プロダクトは、広告に接触した人の指名検索がどれだけ増えたかを効果指標にします。最後のクリックが取れないなら、途中の指標で測る。AI検索も同じ構えでよくて、AI回答の中での言及や引用の量、指名検索の推移、AI経由流入の質。この3つを並べる計器がいまの現実解だと考えています。言及率・引用率を測るのが変化1で触れた計測ツール群で、実はKOMACHIでも同じ思想のGEO機能を開発中です。手前味噌はこの1文でやめておきます。

なお、Googleの中のAIと外部のAIチャットでは引用のされ方がそもそも別物です。ここは先日の記事「Google上位=AI引用」は崩れたのか。話題の70%→20%の出所を追ったで一次データごと整理したので、併せてどうぞ。

変化5 エージェントが買い物をする時代の、商品ページ

最後はECの話ですが、BtoBにも刺さります。ShopifyのシニアSEOリードKyle Risleyが、AIエージェントが人の代わりに買い物をするagentic commerceへの対応を語りました。参加レポートによれば、AIエージェントがサイトにアクセスできるか、内容を理解できるか、情報を信頼できるか、という3つの観点で整理されたセッションだったようです。

このラベル自体は講演の伝聞ですが、中身は本人と会社の公開資料で確認できます。Risley本人が2026年2月にShopify公式ブログへ書いたAEO解説には、商品ページはAIモデルが読んで理解できる構造でなければならない、AIシステムは事実を好み、事実で組まれたページは引用されるために組まれたページだ、とあります。Shopify公式のagentic commerce解説も直球で、AIエージェントは人間のようにお店を眺めない、構造化されたデータに依存する、と書いています。実装も進んでいて、ShopifyはGoogleと共同開発したUniversal Commerce Protocolや、全マーチャントの商品を横断検索できるGlobal Catalogを開発者向けに公開済みです。

商品を売っていなくても、構図は同じです。料金ページ、機能一覧、導入条件。AIが読んで即答できる密度で事実が書かれているか。人間向けの雰囲気の良いページと、機械が引用できるページは、要件が違います。そして変化2のニーズ分岐網羅とここは地続きです。分岐の先に置く答えは、事実の密度が高いほど働く。

月曜からやること、3つに絞る

5つの変化を全部追うと手が止まるので、KOMACHIマガジンの読者、つまりオウンドメディアやマーケを担当している人の実務に絞って3つにします。

  1. 既存記事を意思決定の分岐で棚卸しする。 主要テーマについて、読者が決めるまでに分岐する点(業種・予算・既存環境・体制)を書き出し、既存記事がどの分岐に答えているかを表にする。空いている分岐が、次に書くべき記事です。
  2. GA4のAI Assistantsチャネルを見る。ただし穴を知った上で。 流入は小さく出ます。Perplexity非対応・AI Overviews除外・referrer欠落という3つの穴があるからです。だから単体で判断せず、Search Consoleでの指名検索クエリの推移とセットで眺める。この2つが両方伸びていれば、AI経由の認知が効いている可能性を疑えます。
  3. 第三者に言及される場所への露出を、計画に1行足す。 業界メディアへの寄稿、レビューサイト、事例記事。AI回答での言及は自社サイトの順位だけでは決まらないことが、複数の調査で示されています。SEOの外側にある動きを、月次の計画に最低1つ入れる。
月曜からやること3つ。既存記事の棚卸し、GA4のAIチャネルと指名検索、言及される場所への露出
月曜からやること、3つ

まとめ

カンファレンスからSEOの話が消えたのは、SEOが不要になったからではなく、議論の前提になったからです。Aleyda Solisのスライドも、勝ち筋の土台には基礎的なサイト設計と内部リンクを置いています。変わったのは、その上に積むもの。キーワードの順位から、意思決定分岐の網羅へ。順位の確認から、画面上の露出と言及の計測へ。人間の読者だけでなく、判断を代行するAIエージェントへ。

派手な参加報告の言葉より、登壇者の公開スライドの中身の方がずっと実務的でした。現地に行けなくても、一次資料は追える。土台のSEOは削らず、積むものを入れ替える準備を。


Komachi で「続ける設計」を仕組みにしませんか?

ネタ切れ、SEOの不安、継続のための仕組み。オウンドメディアを止めずに回すために必要な要素を、Komachi は1ツールでカバーします。

7日間無料トライアル、資料請求、個別相談などはお気軽にご連絡ください。

📧 hasegawa@gennai.ai

AI検索にも対応した次世代SEOツール

ChatGPTやPerplexityに引用される記事を、AIが自動生成。GEO対策もKOMACHIにおまかせください。

詳しく見る
共有:
KOMACHI編集部
KOMACHI編集部

AIでSEOマーケティングを自動化するKOMACHIの編集チームです。SEO・GEO・コンテンツマーケティングの最新情報を発信しています。

関連記事

「Google上位=AI引用」は崩れたのか。話題の70%→20%の出所を追ったGEO

「Google上位=AI引用」は崩れたのか。話題の70%→20%の出所を追った

「Google上位リンクとAI引用の重なりが70%から20%に落ちた」という数字が話題です。出所を追いかけると一次資料に辿り着けず、確認できるデータはGoogleの中と外で綺麗に割れていました。数字の出所・プラットフォーム別の実データ・実務の二層構えまで、2026年7月17日時点で検証します。

KOMACHI編集部KOMACHI編集部
8
AI時代に効く一次情報の作り方──独自データと体験が、引用される記事をつくるコンテンツマーケティング

AI時代に効く一次情報の作り方──独自データと体験が、引用される記事をつくる

こんにちは。KOMACHIマガジン編集部の長谷川です。 SEOやGEO(生成AI検索最適化)の話をしていると、必ずと言っていいほど出てくる言葉があります。一次情報。自社の経験や独自のデータを記事に入れましょう、というものです。ただ、言葉だけを見ると、では具体的に何をすればいいのか、そこははっきりしません。一次情報という響きから、調査会社が手がけるような大がかりなものを思い浮かべてしまうこともあります。 でも、AI検索が当たり前になるにつれて、この一次情報の価値ははっきりと変わってきました。ChatGPTやPerplexityに聞けば、たいていの一般論はすぐに返ってくる時代です。そのなかで人にもAIにも選ばれるのは、どこかの焼き直しではなく、その会社にしか書けない中身を持った記事です。 💡 この記事の結論 AIが答えられないのは、あなたの会社だけが持っている情報です。一次情報を作れるかどうかが、AI検索で引用される記事と、埋もれる記事の分かれ目になります。そして一次情報は、特別な調査をしなくても、いまの業務のなかから十分に作れます。 一次情報とは何か。そして、なぜいま効くのか まず言葉の整理から。一次情報というのは、自分たちが直接得た情報のことです。自社で試した結果、お客さんから聞いた話、実際に計測した数字、現場で見てきた事実。対して二次情報は、他のサイトや本に書いてあったことをまとめ直したもの。世の中の記事の多くは、実はこの二次情報でできています。 なぜいま、一次情報がそこまで効くのか。理由はシンプルです。二次情報は、もうAIが持っているからです。一般的な知識やまとめはAIが学習済みで、聞けばすぐ答えが返ってきます。わざわざ誰かのまとめ記事を引用する理由がない。一方で、ある会社が実際に試した結果や独自のデータは、AIの中にありません。だからAIは、回答の裏づけとして、そうした一次情報を持つページを参照しにいきます。独自のデータや事例を持つページのほうが引用されやすい、という観察もいくつか出てきています。 具体例で考えてみます。SEOには被リンクが重要です、という一文。これはどこにでも書いてある二次情報です。ただ、ここに、自社で運用する複数サイトのデータを見たところ、評価の高いサイトからのリンクが増えた月は流入も伸びる傾向があった、と一行添える。それだけで、その一文は一次情報に変わります。同じテーマを扱っていても、自分たちの数字や観察を一つ通すだけで、まったく別の重みを持つ。そしてAIが裏づけとして拾いにいくのは、たいてい後者です。一般論はAIの中にありますが、あなたの現場のデータは、AIの中にないからです。 ひとつ、判断の物差しを。書こうとしている内容を、そのままChatGPTに聞いてみてください。ほぼ同じ答えが返ってくるなら、それは一次情報ではありません。コモディティ、つまりどこにでもある情報です。逆に、AIが答えられない、あなたにしか書けない部分があるなら、そこが一次情報です。書く前にこの確認をするだけで、内容の濃さがはっきり変わります。 この考え方は、E-E-A-Tの実践ガイドで触れた経験という評価軸とも地続きです。Googleも、実体験に基づく情報を高く評価するようになっています。AIに引用されること。Googleに評価されること。一次情報は、その両方に同時に効く、数少ない打ち手です。 一次情報は、持っていないのではなく、気づいていないだけ ここは、この記事でいちばん伝えたい部分です。一次情報がないんです、うちは特別なデータなんて持っていなくて。そうした相談をよく受けます。ただ、話を聞いていくと、たいていは持っていないのではなく、気づいていないだけです。 たとえば、毎日のように受けるお客さんからの問い合わせ。その内容は、それだけで一次情報です。どんな悩みを、どんな言葉で質問してくるか。それは業界の生の声であり、他社には見えていない情報です。自社サービスにたまっている利用データ。営業現場でよく聞かれる質問。導入してくれたお客さんが、結局どこで満足してくれたのか。こうしたものは全部、外からは手に入らない、あなたの会社だけの一次情報です。 だから一次情報を作るというのは、ゼロから何かを生み出すというより、すでに自分たちの中にあるものを、記事の形にすくい上げる作業に近い。そう考えると、ハードルがぐっと下がりませんか。この見方に立つと、ネタがない、という悩みは起きにくくなります。 たとえば、ある製造業の会社が、うちには発信できることなんて何もない、と考えていたとします。でも、よく見れば、長年たまった加工のノウハウや、現場でよく起きる不良とその対策が、社内に必ずあります。それは、同じ業界の人なら誰もが知りたい一次情報です。自分たちにとっての当たり前は、外から見ると驚くほど貴重だったりします。この、日常に眠っているものを掘り起こす視点こそが、一次情報づくりの出発点だと思います。難しいのは、作ることより、気づくことのほうです。 一次情報の作り方、5つ では、具体的にどう作るか。大げさな調査は要りません。いまの業務から取り出せる、現実的な5つを挙げます。 ✅ いまの業務から作れる一次情報 自社データの匿名化:サービスの利用状況や施策の結果を、数字で出す ユーザーアンケート:フォームで100人に聞くだけでも、当社調査という一次データになる 顧客インタビュー:実際に話を聞いた事実は、それだけで他にない厚みを生む 自分の試行錯誤:やってみてうまくいったこと、失敗したことの記録 独自の切り口:同じ事実でも、自社ならではの分析や解釈を加える いちばん手早いのは、自社データの匿名化です。たとえば、タイトルを変えるとクリック率が上がると言われています、で終わらせない。うちで運用する記事でタイトルを見直したら、平均クリック率が1.2%から2.8%になりました。そう具体の数字に変えるだけで、その一文は他では読めない一次情報になります。守秘義務に触れない範囲で、数字を一つ足す。それを意識するだけで、記事の説得力は大きく変わります。 顧客インタビューも効果的です。録音して書き起こすのは面倒に感じるかもしれませんが、最近はAIの文字起こしを使えば、1時間の会話が数十分でテキストになります。月に1人か2人、30分話を聞くだけでも、記事に入れられる生の声がたまっていきます。アンケートも同じで、100人に聞いた結果は、当社調べ、という形で確かな一次データになります。業界の実態を数字で示す記事は、他のサイトからも引用されやすい。 意外と見落とされがちなのが、独自の切り口です。同じ統計や事実を扱っても、自社の現場感から解釈を加えれば、それも一次情報になります。世間ではこう言われているけれど、現場で見ているとむしろ逆のことが起きている。そんなふうに、自分の経験を通した読み解きを書く。事実そのものは他から借りたものでも、その解釈はあなたにしか書けません。データを持っていなくても、視点で一次情報を作れる。これは覚えておくと気が楽です。 そして、いちばん身近なのが、自分の試行錯誤の記録です。僕自身、SEOやGEOはkomachiで本格的に向き合い始めたばかりで、まだ偉そうなことは言えません。ただ、だからこそ、つまずいたこと、やってみてわかったことが、そのまま記事のネタになります。完璧な専門家の解説より、いま試している人の生々しい記録のほうが、読者にも響くし、AIにも拾われる。経験の浅さは、隠すより出したほうがいい。これは、いまの実感です。 やってはいけないこと 一次情報を意識するうえで、これだけは避けてほしい、というものを挙げます。 ❌ 一次情報づくりで避けたいこと 数字を盛る・でっち上げる:信頼を一気に失う。一次情報の価値は正直さの上に成り立つ 二次情報を言い換えただけ:他社記事の要約は、AIがすでに知っている内容。引用されない 出典を隠す:他者のデータを使うなら必ず明示。自社データとの線引きをはっきり とくに最初の、数字を盛ること。これは絶対にやめたほうがいい。一次情報の強みは、それが本物だという信頼にあります。少しでも盛った時点で、その信頼は崩れます。小さくても正直な数字のほうが、もっともらしい嘘の数字より、ずっと価値があります。当たり前のようですが、成果を出したいときほど、つい話を大きくしたくなります。自分への戒めも込めて書いています。 一次情報をためる仕組みをつくる 最後に、続けるための話を。一次情報は、書くときに慌てて探すより、日頃からためておくほうがずっと楽です。記事を書くたびにゼロから探していると、負担が大きくて続きません。 おすすめは、小さなメモの置き場を一つ作ることです。問い合わせで多かった質問、お客さんが言ってくれた印象的な一言、施策をやってみた結果の数字。そうしたものに気づいたら、その都度メモしておく。月末に見返すと、記事のネタが自然にたまっています。派手さはありませんが、続けるほど効いてきます。既存記事をGEOリライトする優先順位の記事でも書いたとおり、新しく書くより、いまある記事にこの一次情報を一行足すほうが、手っ取り早く効く場面も多いです。 一次情報は、特別な才能やお金がなくても作れます。必要なのは、自分たちの日常のなかに、他では読めない情報が眠っていると気づくこと。そして、それを正直に書くこと。それだけです。 AIが答えられないことを、あなたは毎日、現場で見ています。そこにこそ、これからの記事の価値があります。 Komachi で「あなたにしか書けない記事」を仕組みに 一次情報をどう記事に落とし込むか、どのテーマで活かすか。Komachiは、競合分析から構成、執筆までをAIで支援しつつ、あなたの会社だけの情報を主役にした記事づくりをお手伝いします。AI検索で引用される側へ、一緒に回していきましょう。 7日間無料トライアル、資料請求、個別相談などはお気軽にご連絡ください。📧 hasegawa@gennai.ai

KOMACHI編集部KOMACHI編集部
8
既存記事をGEO対応にリライトする優先順位の決め方コンテンツマーケティング

既存記事をGEO対応にリライトする優先順位の決め方

こんにちは。KOMACHIマガジン編集部の長谷川です。 AI検索への対応、いわゆるGEO(生成AI検索最適化)の話になると、多くの場合、じゃあ新しく記事を書かないと、という方向に進みます。新しく書くのは分かりやすい打ち手なので、そちらへ向かうのは自然です。ただ、その前に一度立ち止まったほうがいい、と僕は思っています。 というのも、多くの会社には、すでにそれなりの数の記事が眠っているからです。数十本、人によっては百本以上。時間とお金をかけて作ったその資産を放置したまま、また新規をゼロから積み上げるのは、もったいない。AI検索の時代は、新しく量産するより、今ある記事を引用される形に直すほうが、速く効く場面が多いんです。 💡 この記事の結論 GEO対応は、全記事を一斉に直すことでも、AI専用の小細工をすることでもありません。引用されやすい条件を満たす記事から、優先順位をつけて中身を整える。これが、いちばん費用対効果の高い進め方です。 ここで言うGEO対応は、ChatGPTやPerplexity、GoogleのAIオーバービューといったAI検索が回答を作るときに、自社のページを参照元として引用してもらいやすくすること。それくらいの意味で使っています。難しい新技術の話ではなく、いまある記事の中身と作りを少し見直す、という地味な作業がメインです。 関連して、もう一点。別の記事(AEO/GEOはSEOと同じ──マーケターが今すぐ動かすべき3つの優先順位)でも書きましたが、AI検索のためだけの特別な対策、たとえばllms.txtを置く、AI向けに文章を分割するといった小細工は、基本的に不要だとGoogle自身が言っています。だからこの記事で言うリライトも、AIをだますためのテクニックではありません。人にとって読みやすく、価値のある形に中身を整える。それがそのまま、AIに引用されやすい形につながる。そういう順番の話です。やること自体は、いいコンテンツを作るというSEOの王道と地続きです。 そもそも、AIはどんなページを引用するのか 優先順位の話に入る前に、直すと何が変わるのかをはっきりさせておきます。ここが曖昧なまま手を動かしても、成果につながりにくいからです。 AI検索がどのページを引用するのか、その仕組みは完全には公開されていません。ただ、いくつかの調査や実際の観察から、傾向は見えてきています。大まかに言うと、ドメインの強さ、つまりサイト全体の権威性そのものよりも、ページ一枚一枚の作り込みのほうが、引用されるかどうかと関係が深いようだ、というものです。大手でないと引用されない、という話ではありません。これは、資産の少ない会社にとってはむしろ希望のある事実だと思っています。サイト全体の力ではなく、ページ単位で勝負できる余地がある、ということなので。 では、どういう作り込みが効くのか。引用されやすいページには、共通して次のような特徴があります。 ✅ 引用されやすいページの特徴 問いに、はっきり答えている → 「〇〇とは?」に対して、最初の数行で簡潔に答えが書いてある 比較や一覧がある → 選択肢を並べて違いを整理している(AIは比較を求める質問の答えを探していることが多い) 一次情報がある → 自社の実データ、独自の調査、現場の事例など、他では読めない中身 構造が整っている → 見出しが質問の形になっていて、どこに何が書いてあるか機械にもわかりやすい 逆に言えば、結論が記事の終わりまで出てこない、一般論だけが続く、数字も事例もない。こうした記事は、人にとってもAIにとっても引用しづらい。数年前に書かれたブログ記事には、前置きが長く、肝心の答えがなかなか出てこない作りのものが少なくありません。 どの記事から直す?優先順位の付け方 手持ちの記事が50本あったとして、全部を一気に直すのは現実的ではありません。時間もかかりますし、ほとんど読まれていない記事まで丁寧に直しても、見返りは小さい。だから、順番をつけます。 おすすめは、2つの軸で考える方法です。ひとつは検索意図、もうひとつは、その記事がいまGoogleからどれくらい評価されているか。この2軸で4つに分けると、どこから手をつけるべきかが見えてきます。 少し具体的にしてみます。たとえば会計ソフトを売っている会社が、次の3本を持っていたとします。Aが個人事業主向け会計ソフトの選び方(月のアクセスはそこそこ)、Bが確定申告のやり方まとめ(アクセスは多いが用語解説寄り)、Cが会計とは何か(ほぼ読まれていない一般論)。この場合、最初に手をつけるべきはAです。比較検討の意図がはっきりしていて、すでに読まれている。ここに比較表と自社の知見を足せば、AI検索でも拾われる可能性は高い。Cは、いま直しても見返りは薄いので後回しでかまいません。全部をやろうとせず、効くところから順に手をつける。これが現実的な進め方です。 どれが比較検討型か迷ったら、その記事のキーワードで、実際にChatGPTやPerplexityに質問してみてください。AIが回答を作り、どこかのサイトを引用しているテーマなら、そこは引用が起きる領域です。その回答に自社が出てこないなら、そこにこそ伸びしろがあります。この確認は5分ほどで終わります。試すと、想定していたキーワードで自社がまったく引用されていない、という結果が出ることもあります。そこが、最初に直す候補になります。 具体的に、記事の何を直すのか 優先順位がついたら、次は中身です。とはいえ、全文を書き直す必要はありません。引用されやすくするための直しは、ポイントが決まっています。大きく3つです。 いちばん効くのは、問いと答えをセットにして、記事の前のほうに置くことです。たとえば「内部リンクとは?」という見出しの直後に、内部リンクとは同じサイト内のページ同士をつなぐリンクのことだ、と一文で答える。当たり前に聞こえますが、これができていない記事は少なくありません。前置きや背景説明が長く、肝心の答えが画面のずっと下にある。AIは、問いにすぐ答えている部分を拾いやすい。だから、この一手だけでも効きます。 次に、比較表やFAQを足します。選択肢が複数あるテーマなら、文章で延々と説明するより、表で並べたほうがAIにも人にも親切です。たとえば3つのプランを比べる記事なら、料金・対象・特徴を表にまとめるだけで、読みやすさは大きく変わります。記事の最後によくある質問を3つ4つ足すのも効果的です。それぞれが小さな問いと答えのセットになり、拾われる入り口が増えます。 そして、いちばん大事かもしれないのが、一次情報を一行でも足すことです。自社で試した結果、顧客から聞いた話、実際の数字。たとえば、タイトルを変えるとクリック率が上がると言われています、という一般論を、自社の30記事でタイトルを見直したところ平均クリック率が1.2%から2.8%に上がりました、という具体に変える。それだけで、その記事の価値は変わります。AIが答えられないのは、まさに、その会社にしかない情報だからです。逆に、どこかの記事の焼き直しは、AIにとってすでに知っている内容なので、引用する理由がありません。 一次情報やE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性の頭文字で、Googleが品質評価で重視する考え方)の高め方は、E-E-A-Tの実践ガイドで詳しく扱っています。なぜ一次情報がここまで効くのかは、あわせて読むと理解しやすいはずです。 やってはいけないこと 逆に、やりがちですが避けたほうがいい進め方も挙げておきます。よくある失敗のパターンです。 ❌ GEOリライトで避けたいこと 全記事を一斉に直そうとする → 途中で力尽きます。優先順位の高い数本から始める 薄い記事を延命させる → 中身のない記事に手を加えても引用はされません。統合・削除も選択肢 AIに丸投げして一次情報ゼロのまま量産する → AIがすでに答えられる内容になり、引用される理由がなくなる とくに3つ目です。AIで効率化すること自体には賛成です。ただ、効率化と、中身を薄くすることは別物です。下調べや構成、たたき台はAIに任せて、最後の一次情報や独自の視点は人が足す。この役割分担が、結局いちばん引用される記事を作る近道だと思っています。せっかくリライトするなら、AIに似た記事をもう一本書かせるのではなく、自分にしか書けない一行を足す。時間を使う先は、そちらのほうが効きます。 直したあと、効いているかをどう確かめるか リライトして終わり、にしないために、確認の仕方も決めておきます。といっても、難しいことはしません。直す前に、その記事のテーマでChatGPTやPerplexityに質問し、引用元のスクリーンショットを撮っておく。これがビフォーです。直してしばらく経ってから、同じ質問をもう一度投げて、自社が引用されるようになったか、引用の中身が変わったかを見る。これがアフターです。 AI検索への反映には時間がかかることもあります。すぐに変化が出なくても、おかしいことではありません。大事なのは、直す前の状態を記録しておくことです。比べる基準がないと、効いたのかどうかを判断できません。手間はかかりますが、この記録を省くと、あとで効果を検証できなくなります。 […]

KOMACHI編集部KOMACHI編集部
9